2012/10/17

10/17本ゼミ

本日は,前回に引き続き3名の3年生(井上,上林,新藤)がそれぞれ持ち寄った論文を要約・プレゼンし,議論を深めました.

井上:Corporate Sports Activity and Work Morale:Evidence from a Japanese Automobile Maker(2011 Masaru Sasaki and Fumio Ohtake)
社会人スポーツにおいて,チームの勝敗が当該企業の労働者の勤労意欲にどのような影響を与えるかについて研究された論文です.対象企業が一社のみなので一般性は低いですが,社会人スポーツにおける勝敗が勤労意欲に影響を与える可能性が高いという結論を出しています.先生によると,「勤労意欲が下がったとしても実施に生産性にまで影響が波及するとは限らない気がします」とのことでした.

上林:Firm Performance and Wages: Evidence from Across the Corporate Hierarchy(2011 Brian Bell and John Van Reenen)
経営層と一般労働者の賃金が,当該企業のパフォーマンスによってどの程度左右されるのかについて書かれた論文です.利益率1%の上昇による賃金の弾力性は,経営層の方が圧倒的に一般労働者を上回ることが示唆されています.「あくまで欧米での実証結果なので,日本で同じ調査を行えば異なる結論が得られる可能性が高い」といった議論が出ました.

新藤:北欧に見る成長補完型セーフティネット (2010日銀)
北欧諸国で取り入れられているフレキシキュリティという労働市場システムについてまとめられた論文です.従来矛盾する概念とされていた流動性(Flexibility)と安全性(Security)をかけ合わせた画期的なシステムとして日本でも議論が活発化しています.先生からは「北欧のようなJob型社会を前提としたシステムを日本の成熟した終身雇用制に持ち込むことは難しいのでは」という指摘がありました.