2012/10/31

10/31本ゼミ

本日は石塚,友成の2名が持ち寄った論文をプレゼンテーションしました.

石塚:「障害者就労の現状と課題」(川上輝昭 2011)
障害者の雇用に関する現状整理と今後の課題,展望などがまとめられた論文です.国内の障害者雇用は依然として進んでいないという認識のもと,障害者就労は量的問題(法的雇用率達成企業の数など)のみならず質も重視されるべきという議論が出ました.先生の「低賃金の障害者労働に,政府が直接現金を支給,補完する可能性もあると思います」というコメントに対し,「障害者にとってはディスインセンティブにならないか」などの意見が出ました.

友成:「日本の労働市場における男女格差と企業実績」(2011 Jordan SIEGEL,児玉直美)
女性労働者の積極的雇用が企業業績に与える影響について考察された論文です.先行研究では,分析手法に関わる諸般の制約上,正の影響も負の影響も考えられうるため,更に精緻な議論を展開することで正確な分析結果を出したとしています.先生からは,「女性労働者が企業の生産性に正の影響を与えるメカニズムがわかりにくい」とのことでした.

また,残った時間で先生が今月25日に財務省で行った報告会の資料を用い,若年者就業に関する講義を行いました.

2012/10/26

10/24本ゼミ

本日は先生が休講日のため,休みとしました.

2012/10/17

10/17本ゼミ

本日は,前回に引き続き3名の3年生(井上,上林,新藤)がそれぞれ持ち寄った論文を要約・プレゼンし,議論を深めました.

井上:Corporate Sports Activity and Work Morale:Evidence from a Japanese Automobile Maker(2011 Masaru Sasaki and Fumio Ohtake)
社会人スポーツにおいて,チームの勝敗が当該企業の労働者の勤労意欲にどのような影響を与えるかについて研究された論文です.対象企業が一社のみなので一般性は低いですが,社会人スポーツにおける勝敗が勤労意欲に影響を与える可能性が高いという結論を出しています.先生によると,「勤労意欲が下がったとしても実施に生産性にまで影響が波及するとは限らない気がします」とのことでした.

上林:Firm Performance and Wages: Evidence from Across the Corporate Hierarchy(2011 Brian Bell and John Van Reenen)
経営層と一般労働者の賃金が,当該企業のパフォーマンスによってどの程度左右されるのかについて書かれた論文です.利益率1%の上昇による賃金の弾力性は,経営層の方が圧倒的に一般労働者を上回ることが示唆されています.「あくまで欧米での実証結果なので,日本で同じ調査を行えば異なる結論が得られる可能性が高い」といった議論が出ました.

新藤:北欧に見る成長補完型セーフティネット (2010日銀)
北欧諸国で取り入れられているフレキシキュリティという労働市場システムについてまとめられた論文です.従来矛盾する概念とされていた流動性(Flexibility)と安全性(Security)をかけ合わせた画期的なシステムとして日本でも議論が活発化しています.先生からは「北欧のようなJob型社会を前提としたシステムを日本の成熟した終身雇用制に持ち込むことは難しいのでは」という指摘がありました.

2012/10/16

10/10本ゼミ

10/10は,(重村)・武子・山本の3名の3年生がそれぞれ持ち寄った論文をプレゼンしました.内容は以下のとおりです.

武子:なぜ大都市圏の女性労働力率は低いのか(2008 橋本由紀,宮川修子)
大都市における女性労働力率の低さに着目し,政策的インプリケーションをまとめた論文です.問題の根本には潜在需要も含めて80万にのぼる待機児童の存在があり,保育施設の拡充がはかられる必要があるという結論を導いています.これに対し,新規保育施設拡充政策は既存の保育業界からの反対を免れないため,これは経済問題ではなく政治問題だとする意見が出ました.

山本:Productivity or Discrimination? Beauty and the Exams(2005 Giam Pietro Cipriani & Angelo Zago)
優れた容姿の人間は生産性も高いのか?というリサーチクエスチョンに基づいたワーキングペーパーです.太田先生からは「容姿の良し悪しを判断する人間のバイアスがかかっている可能性が否めない」など懐疑的な意見が出ました.

2012/10/11

10/3本ゼミ

■秋学期スタート
太田ゼミでは10/3から秋学期の活動がスタートしました.本年度秋学期本ゼミのおおまかなスケジュールは以下の通りになっています.

10月:3年生による個々の研究内容に関連した先行論文の要約・プレゼン
11月:同上+4年生の卒論途中経過プレゼン
12月〜:同上

■活動内容
10/3の活動内容です.
3年生阿部と山口による,先行論文の要約・プレゼンテーションを行い,先生とともに議論しました.

阿部:Do Matching Frictions Explain Unemployment?(2012 Pascal Michaillat)

2011年にノーベル経済学賞を受賞したDiamond-Mortensen-Pissarides型のJob-Searchモデルの欠陥を指摘し,更に拡張させた論文です.American Economic Reviewに掲載された画期的な論文ですが,太田先生いわく「ほんとかよーという気がします」とのことでした.

山口:Employment Consequences of Employment Protection Legislation(2011 Per Skedinger)

国をまたいだ「一般的な」解雇規制について書かれた最新の論文です.国の違いによる文化的制度的側面を取り払ったときに,解雇規制が強化されることで実体経済がどのような影響にさらされるのかをリサーチクエスチョンとして掲げています.